第3回リグナイト『リガーアニメーター座談会その③』後編~議論結果~

2019/12/25

こんにちは。
BACKBONEの福本です。

今回は、第3回リグナイト『リガーアニメーター座談会その③』の当日の様子をお伝えします。

第1回リグナイトについてはこちら
第2回リグナイトについてはこちら

今回ご参加いただきました会社様、リガーさん、アニメーターさんの数は下記となります。

・映像関連       :9社
・ゲーム関連      :4社
・両方(フリーランス含):6社
 計          :19社

・リガーさん      :12名
・アニメーターさん   : 8名
・両方         : 3名
 計          :23名

今回は、前回で議論しきれなかった、

・各フローや作業内容
・ 仕様やトリセツ

のテーマについて、掘り下げて議論しました。
アニメーターさんとの座談会が最終回ということもあり、フリートークに近い形での議論大会となりました。

 

 

※以下の議論内容は、各テーマの「解」ではなく、皆さまの経験談に基づく「ご意見」となります。


前半 『各フローや作業内容

 

〘レイアウトで必要なリグ機能は?〙

<アニメーター>
・アニメーション用と同じコントローラが欲しい。
・フェイシャルリグは必要ないが、タイミングを取るために目パチ機能と目線を動かすコントローラーは欲しい
・目線に関してはレイアウトとアニメーションで挙動が変わらないよう、同じリグが欲しい。
とにかく軽いリグ

<リガー>
・カットモデルではシルエットが分からないという理由でバインドしていたが、結局軽いカットモデルに戻った。
レイアウトはあくまで配置や画を決める工程と定義している。レイアウト用リグと本番用リグは完全に別物

レイアウト作業時に目パチと眼球制御のコントローラーは欲しい、といったご要望はよくお聞きします。
どの案件でも流用できる「汎用的な目パチと眼球制御のリグ」は開発しておいた方が良いかもしれません。

 

〘レイアウトの内容とは?〙

<アニメーター>
・レイアウトはタイミング、カメラ、画を作る。
・レイアウトとアニメーションではスキルが違う。
レイアウターはカメラマン。アニメーターは俳優。
 仕事の内容が違うのでレイアウトで付けたアニメーションの流用はしない。

・以前はレイアウトとアニメーションの担当を分けていたが、レイアウターが設定したカメラをアニメーターが
 
勝手に変えた…カメラにも意味があったのに!などのモメごとが発生したので、分けるのをやめた。
・弊社のワークフローではモーションビルダーを使用してカット調整なども行うので、
 
レイアウト時にアニメーションのブラッシュアップも兼ねている。
 
特にキャプチャベースの場合は、レイアウトの時点でタイミングがほぼ決まる。
レイアウトで付けたアニメーションも使えるなら使いたいが、削除することが多い。
リグは作り込んだアセットではなく人型のキューブなどでよい

レイアウトとアニメーションの考え方は各社様で異なるようで、とても白熱した議論をされていました。
あまりにも白熱されていたので、一旦切り上げて次の話題へ。

 

〘レイアウト/アニメーション開始後のモデルやリグの更新について〙

<アニメーター>
レイアウト作業中にアニメーションが壊れるような更新をされると困る
 そういった場合は更新を止めてもらったり、レイアウト専用のリグとして分けて対応してもらっている。
・デザインやモデルが度々変わるので、アニメーションの調整が大変。
 レイアウトの時点で骨だけは確定してほしい

<リガー>
アニメーションに影響しないように気を付けて修正、更新している。
・カメラの見え方に影響する身長だけはレイアウト前にフィックスしてもらうよう、関係各所とやり取りしている。
・大型アップデートの場合は、アセットのバージョンをロックする事がある。

名前や階層の変更は、アニメーションが壊れることがあるので注意が必要です。
特に骨やコントローラーの名前のスペルミスは格好が悪く、後工程への影響が大きいので避けたいところ。

 

〘プロポーションの変更が発生した際、リグの差し替えはどのように対応されていますか?〙

<リガー>
・骨から変える変更は無理。ベースアセットならなおさら無理。
・パイプラインがないので差し替えは負担が大きすぎて無理。断る。
プロポーションの変更には、セカンダリーリグの変更も必要
・レイアウトを開始する頃にはアセットのプロポーションは確定している(させている)。
 
特にキャプチャーを使用する案件では、後で骨の位置を変更するのは難しい。
 そもそもリグ作業に入った時点でのプロポーションの変更は発生しない。 
・万が一発生しても、ビルドスクリプトでリグを構築しているので差し替えは楽。
 スクリプトを作成する時間はかかるが、更新の際の負担は少ない

・プロポーションの変更は対応しきれないので、発生しないようモデル作成時にクライアントに入念に確認している。
・全部位をスケールできるようなリグを設定しているので、ちょっとしたプロポーションの変更は
 コントローラーのスケールで対応してもらっている。
 ただ、
リグのスケールで対応するとシミュレーションの設定や制御が難しくなる事が多く、
 シミュレーションチームからは嫌がられる。
・xgenで設定されている個所があると、スケールでの対応は厳しい。
・クライアントからモデルのOKをいただき、アニメーションを付けた後にキャラ崩れが発生していると言われ、
 モデルとリグの作り直しを3回繰り返したことがある。もちろん炎上した。

プロポーションの変更は、アニメーション作業中に発生すると目も当てられない大惨事になりかねません。
そもそもレイアウトの時点でプロポーションはフィックスさせているので、修正自体発生しないというご意見が多かったです。

 


休憩 『懇親会』

 


後半 『各フローや作業内容』つづき

 

〘ゲーム制作では、プロポーションの変更はどのように対応されていますか?〙

<リガー>
アセットが更新されたらアニメーションをコンバートする内製ツールがあり、
 シーンを開いたときに最新のリグに自動でコンバートされます。

・内製ツールがなくてもゲームエンジンがリアルタイムでリターゲット処理してくれる。
・Maya内ではHIKでリターゲットして対応している。

セカンダリーは物理対応が多いので映像制作でのリグよりは影響が少ない、といったご意見も。

 

〘スクリプトベースでリグを構築されていますか?〙

<リガー>
・モジュラー式のリグシステムを使用している。
 各モジュールを組み合わせて、ビルドスクリプトを作成して流用している。
体だけはスクリプトで構築、セカンダリーは手動で構築している。

・モーションビルダーでリグを設定する際は、bipedはスクリプトで自動構築している。
・スクリプトベースを止めたい。もっと効率的な手法があるかもしれない。仕組みを変えたい。
・スクリプトベースは難しいので慣れるまで時間がかかるし、新人教育が大変

流用しやすい体のみスクリプトベースで、服などのセカンダリーは手動で対応されている方が多いようです。
スクリプトを作成しておくと、別の案件でも流用が効くのが良いですね。最初に工数はかかりますが。。。

 

〘海外のスタジオでは、アセットの更新や差し替えはどのように対応されていましたか?〙

<アニメーター>
・時間があるのでフロー内で吸収していた。
そもそも変更による戻りが少なく、ちゃんとフィックスしたものが下流に流れてくる

・下流工程を無視して常にリグが更新される会社もあった。コストがヤバい。
終わったシーケンスはリグのバージョンをロックをするので、出来上がったシーケンスには影響ない。
・アニメーターから、極力変えないでと言われるのでアニメーションに支障ないように修正されていた。

あくまでも過去の経験でのご意見とのことで、最近の情報は分からないそうです。
確実にフィックスしたものが下流に流れてくるのはかなり理想的ですが、
多くの工程が並行で動いているので、ウォーターフォール的な制作はなかなか難しいですね。

 

〘アセットロック(バージョンアップの停止)していますか?〙

<アニメーター>
・リグが修正された場合は、maxのbipedでリターゲットしている。体格差は結構吸収できる。

<リガー>
・シェーダーが確定していない時には極力したくない。
 衣装違いなどでアセットを分岐する時は、シェーダーを別で管理していないとレンダリング時が大変。
・どうしてもアニメーションに影響するようなリグの更新が必要な場合は、最悪アセットを分岐させる。
 その結果、郎A、太郎A´のような微妙な違いの同一キャラアセットが増えていき、カオスになる。

・弊社はパイプラインがないので、ただ下から積み上げていく状態。卒業制作のよう・・・。
・アセットロックの概念がない。リグの修正が発生すればいつ何時でも修正する。
・maxではアセットをリファレンスできないので、リグの修正でアニメーションに影響ある場合は
 修正用のパッチスクリプトを用意してアニメーターに実行してもらう。

アセットを分岐してバリエーションを増やすと、修正が発生した時に全てのバリエーションに同じ修正を行う必要が
あるので、自動で再ビルドできる仕組みや、分岐させるタイミングがとても重要だと思います。
割り切ってアセットロックした方が良いケースもあります。

 

〘髪や服などのシミュレーションは誰が担当されていますか?〙

<アニメーター><リガー>
・プライマリー(体)のアニメーションの確定後、セカンダリー(髪や服など)のアニメーション作業に入る。
リグで揺らす簡易的なものはアニメータが対応している
・良い感じに動くようなパラメーターとコリジョンの設定まではリガーが担当している。
マーベラスなどのガチなシミュレーションはリガーが対応している
・リグからシミュレーションまで全てシミュレーションチームが対応している。
・シミュレーションチームなんて我が社にはない、人がいない。うらやましい。

・シミュレーションできる人が少ないので、リガーもアニメーターも協力して対応している
・ゲームではエンジンで物理処理しているが、演出が必要な個所のみ手付けでアニメーションしている。

髪やスカートなどのコントローラーは、
・IKFKのコントローラーにヘアーを設定し、手付けでアニメーションを付けた後シミュレーションで細かい動きを追加、
・又はシミュレーションで大きな動きを付けた後、手付けで細かい動きを追加、
といった仕組みが多いようです。

 

〘髪や服などのシミュレーションのめり込み修正は誰が担当されていますか?〙

<アニメーター><リガー>
・シミュレーション担当者が対応している。
・プライマリーアニメーション時にアニメーターが極力めり込みがないよう、気を付けて作業している。
キャッシュ化したモデルを頂点単位でシルエットも調整できる社内ツールがある。
 アニメーション後はキャッシュ化しているので、めり込み個所はアニメーターが担当している。

シミュレーション担当者(アニメーター含)が対応されているというご意見が多かったですが、
キャッシュ化しておくと、最後に頂点単位で誰でも修正できるので、個人的にもお勧めです。

 

〘フリーランスの方もシミュレーションの対応はされていますか?〙

<アニメーター>
・セカンダリーコントローラーとしてリグが設定されているものは、手付けで揺らします
・コントローラーにヘアーなどのシミュレーション設定がされている場合は、コリジョンも含めて対応しています。
・求められれば対応していますが、会社内とフリーランスでは作業フローや環境が大きく違うので限界があります

コントローラーにシミュレーション機能が含まれている場合は、各社様のパイプラインや効率化のための内製ツール、
PCのスペックなど、環境に依存する事も多いので、使用されているツールも提供していただけると嬉しいとのこと。

 

 


『仕様やトリセツ』

 

〘アニメーターにとってどのような仕様書やトリセツがよいでしょうか?〙

<アニメーター>
動画が良い(多数)。

・3分程度に編集されている動画であれば見やすい。
目次があればなお良い。
・高画質の動画だと、自宅作業の場合は重くて見づらい場合がある。
・冗長な動画は苦手。見るべき箇所が分からず文章検索ができない。
文字の仕様書だと読みづらい

<リガー>
・操作説明の音声付き動画を作成している。
・アニメーターが読んでくれるのか分からない。

アニメーターさんには、動きが分かる動画の方が好まれるようです。
動画では文字検索が出来ないので、なるべく短い動画にする、機能別に動画を分ける、
目次を付けるなどの工夫が必要かもしれません。

 

〘仕様書やトリセツは、どの程度詳細に書かれるべきでしょうか?〙

<アニメーター>
・「Hand_Lコントローラは左手を動かします」など、冗長な説明はない方がよい。

・人型のIK-FKの切り替えやリバースフットなど、一般的な内容であれば不要。
・特殊なリグであれば説明が欲しい。
アニメーターにリグを解析する工数が与えられていないことが多い。仕様書が不十分な場合はキツイ。

<リガー>
リガーにも仕様書を作成する工数が与えられないことが多い。キツイ。無理。

仕様書は作成するにも、目を通すにも時間がかかりますね。
一般的な機能の説明は省き、特殊なリグや多機能のリグに対しては仕様をしっかりと記載しましょう。
仕様書に関する工数が与えられていない事が多いようなので、
PMとプロデューサー様、仕様書作成・解析のための工数確保をお願いします!

 


アニメーターさんとの座談会は今回で終了となりますが、また数年後に同じテーマで開催しようと思います。

今後は当スタジオのHPにて、次回リグナイトの開催日と詳細を告知いたします。
ご興味のある方は、ぜひご参加下さいませ。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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