2018/09/28

ケージモデルを使用したウェイト作業の利点

はじめまして。
カナバングラフィックスのリガーの宮田と申します。(以下カナバン)

今年2月のリグセミナー(Rigging help me !)でご一緒させていただいたご縁で、
現在、BACKBONE様のリガー育成プログラムに、出向という形で参加させていただいております。

カナバンではリグ作成の際、レンダリング用のモデルで直接ウェイトを調整したり、
デフォームの修正にターゲットで対応することが多かったのですが、
BACKBONE様でのリガー育成プログラムで、ケージモデルを使用したウェイト調整や、
補助骨を使用した大量生産への対応など、多くの事を経験させていただいております。

今回は、とてもメリットを感じたケージモデルについて、作成のポイントやメリットをご紹介します。

 

はじめに

ケージモデルとは、ウェイト調整やリグ調整用にエッジが最適化されたモデルのことです。

ウェイト調整をケージモデルで行い、最終的にウェイトをレンダリング用のモデルに転送する、
または、レンダリング用のモデルをケージモデルにWrapする、ことで効率よくウェイト調整を行えます。

まずは下図をご覧ください。

左側が、私が最初に作成したケージモデルとなります。
このケージモデルではいくつかの問題点があり、作業のスピードが上がりませんでした。
そこで、最終的に右側のケージモデルに修正することで、大幅に作業効率が向上しました。

みなさま違いがわかりますでしょうか。
大きく分けて3点ほどポイントがございますので、以下問題点と共に詳細をご紹介していきます。

 

POINT1 『エッジは綺麗に

最初の問題点は、エッジがガタガタしており、エッジの間隔が均等に設定されていなかった点です。

  • エッジがガタガタなので、デフォームが滑らかになるようにウェイトを調整しても
    意図した形状にならない。
  • 一周しているエッジに対し一律でウェイトを設定しても、
    ジョイントを曲げるとガタガタした形状になってしまう。
  • エッジの間隔が広い個所のデフォームが硬くなってしまう。
  • レンダリング用のモデルにウェイトを転送しても、綺麗に転送されない。

などの問題が発生し、ウェイト作業がとても非効率でした。

そこで、右側のモデルのように、エッジを滑らかにし、
エッジの間隔も均等になるように修正したところ、
これらの問題が全て解消し、詰めの段階においても、
微細な歪みを確認することができて、とても楽に修正が行えました。

また、レンダリング用のモデルへも、全く修正を行う必要がないぐらいの精度でウェイトの転送が行えました。

 

POINT2 『シンプルにまとめる

次の問題点は、インナーとジャケットのケージモデルを、それぞれに分けて作成していた点です。 

  • インナーとジャケット、それぞれでウェイト調整を行っていたため、
    重なっている個所の調整が非常に困難。
  • ジョイント制御時にインナーとジャケットが干渉して、インナーが表に出てきてしまう。

などの問題が発生し、作業も二度手間となりとても非効率でした。

そこで、右側のモデルのように、インナーとジャケットをシンプルに1つのケージモデルとして作成し、
ウェイトを調整したのですが、劇的に作業が楽になりました。

更に、インナーとジャケットへウェイトを転送してみると、
驚くほど綺麗に転送され、干渉がなくなりました。

モデルをまとめる簡単な手法ではありますが、服を着ているキャラクターにはとても有効な処理でした。

 

POINT3 『関節には適切にエッジを増やす

最後の問題点は肘のエッジを均等に設定していた点です。

・肘のエッジが不足しており、肘を曲げた際の形状を作るのが困難。

などの問題が発生し、レンダリング用のモデルへの転送後の結果も芳しくありませんでした。
これではケージモデルを使用する意味がありません。

そこで、肘や肩といった関節位置には適切にエッジを増やし、
曲げた際の形状を作るためのエッジを追加したところ、
思い描いたデフォーム形状を作成することができ、
転送後の調整も最小限に留めることが出来ました。

 

所感

実際にこれらのポイントを押さえてケージモデルを作成し、
ウェイトをレンダリング用のモデルへ転送してみると、
かなりの速度でウェイト作業を完了することができました。

個人の感覚ですが1.5倍速ぐらいでしょうか。

はじめはケージモデル作成に慣れておらず、手間に感じていましたが、
モデルの割に左右されずに自分で決めたエッジでウェイト調整ができますので、
気持ち的にもストレスなく作業を進められる点も良かったです。

改めて、ポイントをまとめると、

  • POINT1 『エッジは綺麗に』
  • POINT2 『シンプルにまとめる』
  • POINT3 『関節には適切にエッジを増やす

です!

ケージモデルを使用されていなかった方や学生の方は、これを機に挑戦してみてはいかがでしょうか。
新鮮な気持ちでウェイト作業ができると思います。
あと、転送後にバッチリ決まると楽しいですよ!

今後も学んだ事を、記載していけたらと思います。

ではまた!

 

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